cat-sea

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すし屋にて

 

ヴーーン。すしがふた皿、モーター音とともに流れてゆく。蟹のすし。爪つきの。やたらと白っぽい肌身。同じ向きに並べられた蟹の一部だったものが、四角く握られた米粒にのせられ、直線運動で運ばれてゆく。ヴーーン。腹の底から笑いたいような、でもなんか刹那的で美しいような、人間ってほんと醜いよなみたいな  へんな想い  がふつりふつり。滑ってゆく蟹爪を横目で見たあと、苺パフェをたべた。飾りのホワイトチョコにはすし屋の店名がプリントされていた。味がしなかった。てっぺんにのせられていたミントはへたれていた。たべてもたべなくてもいい彩りのミントがへたれていた。綺麗な緑ではなかった。だれがどんな指でこのミントを摘んだのか。最後のひとくち、バニラアイスといっしょくたにして食べた。残したくなかった。なくてもいいものばかりだな。すしは美味しかった。おわり