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架空ではない日記

うちはなんか全体的にふわふわとしている。全員が他力本願で脳筋なのでだれも気が回せないのもけっこうやばい。やばいけどなんとかなっている。たとえば家族のだれかが入院するときも手術するときもお葬式とかでもなんとなくみんなへらへらしている。
おじいちゃんのお葬式のときは隣に座っていた兄が「お前中学に入ったら何部に入るん?デ部?ボ部?」ってずっと言ってきて妙におもろくてずっとおなかいたかった。お焼香のときに父がチーンって鳴らすやつの当たりどころをまちがえてボコっみたいな音してそこでもニヤニヤしてしまった。そもそもお坊さんがめちゃくちゃ遅刻してきた。なんでなん。
今朝、父がなんか具合が悪いと言って仕事を切り上げそのままでかい病院に行った。母も一緒に行こうとしたけどご時世的にもあんまりだしそもそも自分で車で運転していけてるんだからまあ大丈夫っしょ、と言って止めたんだけど、検査入院になってしまった。わたしは職場に電話をして休みをもらい母と病院に行った。母は入退院手術のプロなのでいるであろうものをせっせと詰めていたが絶対いらんやろみたいな服とか家用のきたねえコップとかも詰めてた。準備だけではあはあしててまじで落ち着いてくれ…となった。わたしはそれを見てちんたら歯を磨くなどした。こんなときに限って車の調子が悪い。全然加速してくれない。音も変。そろそろやばいのだろうか。車までぽんこつだ。


病院に着いたら検査待ちの父が腕から点滴ぶら下げて椅子に座っていた。あれ、おとんこんなじいちゃんみたいだっけ…と思った。細いし顔が小さいし白髪がすごい。はー、そうだよ、このひと孫二人いるしふつうにおじいさんなんだよなーと思わされる。仕事現役だしたぶん若い方だとは思うけど。父はもうわりとおじいちゃんでした。


膵臓と肝臓が悪いらしい。もう一生酒飲むなって言われた と言ってて笑ってしまった。父は筋金入りの帰宅即飲酒マンなのでそりゃそうだよなと言う感じなんですが。兄に電話して状況を説明し一生酒飲むなって言われたらしいよって言ったらやっぱり笑っていた。やっぱりこういうときへらへらしてしまうよな。血筋を感じる。


3年前の3月に祖母が同じ病院にお世話になった。父の病室がそのときとまったく同じ階なのがちょっといやだなあと思う。祖母は元気だったのに急に体調を壊して一ヶ月もせずにこの病院で亡くなった。さいごのさいご、もういよいよですとなって、みんなでベッドを囲んで声かけてたんだけど、いよいよですと言われてからが妙に長くてやっぱりちょっと笑ってしまった。最後までしぶといひとだった。めちゃくちゃ頑固だったし。生き様を見た。


おばあちゃん息子大好きだったからな…、でもまじでまだつれてくのははやいからばあちゃんちょっと勘弁してくれ〜という感じです。


おとんは週末まで絶食らしい。かわいそう。下手するとわたしより若いのではないかというお医者さんから説明を受けた後、腹減った〜と言いながらやっぱりへらへらと病室に帰っていった。ふつうにがんばって健康に長生きしてほしいので父の酒はわたしが責任を持って処分しておきます。わたしと母は食堂で遅いランチをめいっぱい食べて帰った。

へらへらしてしまうのは、目の前の現実をどうせ受け止めねばならないのなら、まあなんとかなるやろと構えるほかないなとどこかで思っているからだと思う。なんとかなるやろ、と、思っていきてきたし、なんとかなってきた。へらへらはしていても、生きることにずぶとい家族だとおもう。ので、まあなんとかなるやろ。

おわり