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日記0905

 

60歳で終末期で自宅療養をしている知人のための、なにか癒されるような本はないか、ときかれた。

そのひとのすきなものとかはわかりますか?ときくと、知らないとかえってきた。どのくらいの距離感の知人なんだろう。試しにさらっと渡してみて様子を伺いたいらしい。おしつけがましくなるのもいやだと。なるほど

たぶん、自分の最期をおもいながら一日をすごしているひと。60歳、わたしの母よりも若い。そんなひとが癒されるような本。全くわからなかった。わからなかったけど、わからないなりに選んだ。星野源の対談集、今日マチ子さんの本、地元を舞台にした絵本、岩合さんの猫の写真集、バムとケロ。あまり主張の激しくない、でも読んでてきっと楽しいものを選んだつもり。選んだ本を見せると、「こんなに選んでくれたの、おかげでなんだか今日一日元気にすごせそう」と言ってくれた。こんなぺーぺーのわたしにそんなことを言ってくれるあなたにわたしはまず泣きそうでした。すきなものをしらない距離感の知人、それでもなにかをしてあげたいというきもちにすこしでもこたえられたのだろうか?

 

縁起でもないけど、もしかしたら、わたしが選んだ本が最期に読む本になるかもしれない。本を渡してしばらくしてからそのことに気づいてしまった。選んだ本はきっとどれもすばらしい。でも、ほんとうにわたしでよかった?わたしじゃないひとだったらどんな本を選んだんだろう。あなたならどうしますか?

 

どうかすこしでも気に入ってもらえますように。またあのひとが新たに本を探しにきてくれますように。この仕事をしていていちばんきもちがゆれた日だったかもしれない。あしたもがんばろー。