https://www.shogakukan.co.jp/books/09386575
よみました。
関西大学の文学部卒…かっこよ…
恋愛小説というジャンルにはめこむのはちょっと乱暴な気もする。それだけじゃなさすぎる。主人公の内側の苦悩が生々しい。
すごく鬱々とした主人公。自分かと思った。いや、ここまでは鬱々してないけど…。。わたしのなかにも確実に在る黒くてじめじめとした部分を抉り出されて文章にされたような感覚。
大学生活を手放しで謳歌できない者。自分で謎のバリアを張ってしまう者。こっち側の話だ〜…と思った。
福徳さん、鬱々とした心理描写がめちゃくちゃ上手。なので読んでてずっと胸が痛かった。比喩がたくさん出てくるんだけど、どれも絶妙に変なのに的確。空のようす、セリフの一つ一つ。独特な言い回しが妙にしっくりくる。
目尻のシワ。おばあちゃんの言葉。犬の質感。ポストに鍵が落ちるときの金属音。右膝。右膝よりも痛むところ。いたい。
主人公と、ほんの数人しか出てこない。せまいせまい空間の話。一ヶ月半のできごとと、回想。それだけのはずなのに、ここまで広げられるのか。
そんなことまで描写するのか…の連続だった。かゆいところに手が届くというか、そうそう、わたしもかかれて今気づいた、そこがかゆかった、みたいな感じ。と、いまおもいました。
ジャルジャルの福徳さんの文章を読んでるな〜と思った。 常にいろんなことに目を向けている脳みそ。福徳さんのフィルターで毎日過ごしてみたい。でもわたしじゃ最大限には楽しめなさそう。福徳さんだからあんなふうに表出できるんだろうな。
…感想って難しい〜。喋りすぎたら作品のいいところがうまく伝わらない気がする。
すごいよかったです。
最初はタイトルくさいな…とかなんで表紙実写の犬やねん…とか言い回しくどいな…とか思ったけど(すいません)どんどんぜんぶが馴染んでいって面白くなったし、すべて必要なものだった。
通勤のバスの中での楽しみがおわっちゃった〜。さみしー。おすすめです!
おわり